じんじんマのだいたい地獄の一丁目

只今発狂 わたしは留守よ

『お葬式』


「お葬式」

 

あれやこれやと
惑うものども
寄り集いては
さざめいて
つぶらな黒眼
つらねて候。

 

昼なほくらき
廊下をわたるは
解せぬ貌したばけものどもで
やけに艶ある風がふきこむ
真白の障子の破れから
ひとさし指を
つと抜いた
貴様はぜんたい誰なのだ。
奥まった間じゃ
見へないこどもが
がらがら嗤いて
いざってゆくが
いったい貴様に用はない。

 

俺をみるなよ
黒眼ども
(爪は畳の目を毟り)
みるなよ黒眼
俺をみるなよ
(此処でない
何処かへと喘ぐ)


あれよことばはうしなはれ
寂寞・寂寞・寂寞と
背なをつたいくる
汗だけが
情を持たないただ汗だけが
俺を座敷に繋ぐとむらい